2015年04月12日

鳩の撃退法

鳩の撃退法.jpg
「鳩の撃退法」佐藤正午

相当久々に小説のレビュー、というか紹介。
最高やったねこれ。
佐藤正午はおれの地元佐世保の高校の卒業生やから先輩にあたる。
他の卒業生に村上龍もいて、この二人の作品はおれの在学中から学校の図書室においてあった。
高校生にふさわしい「図書」では全くないけどね。。。
そんな異色作家をたくさん排出する佐世保という土地はやっぱりよくも悪くも特殊なんかね。
ともあれ、身内びいきを抜きにしても二人とも素晴らしい作家やと思う。

で、この佐藤正午。デビュー当時は「永遠の1/2」が賞を取ったりして非常に有望視されてたんやけど、その後爆発的に売れることはなく、誤解を恐れずに言えばやや「通好み」の作家というポジションに。
作品はそんなに多くないけど、数年おきに新作が出る度に追っかけて読んできた。
確かに万人受けするような文体ではないし、登場する主人公は(おそらく作者自身を投影して)だらしない女たらしの皮肉屋でギャンブル好きという設定が多い。
でも、それを昔の私小説家みたいにやぼったく沈鬱に書き綴るんやなくて、スマートな文体で、強烈な皮肉もユーモアとして描ききってしまうところがすごい。

さて、そんな作家の最新作はファンならたまらない「正午節」全開。偽札をめぐる物語にぐいぐいと惹きこんでいく。時系列を前後させ、一人称と三人称を織り交ぜて時に読者をも巻き込む、という複雑な設定でありながら難しさは感じさせない。
他の作家が絶賛しているように、確かに佐藤正午は本当に「上手い」作家なんやと感じた。
時代とずれているようでありながら、確かに現在を切り取った素晴らしい作品。
小説の面白さの限界に抵抗するような、作者の静かな闘争を感じる一冊。

いろいろと批判の多い本屋大賞も、一度佐藤正午を選んでみたらいいんじゃないかと。
まあ「鹿の王」は今読んでて、確かに面白いけどね。


posted by しもみだい at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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